苦手な上司に対する印象はやさしさの「メッタ」でポジティブ感情を育てましょう!
やさしの「メッタ」とは、マインドフルネスの方法のひとつで「人に対するネガティブな感情」を「ポジティブな感情」に変えるものです。
苦手で嫌いな上司に当たることで、疲れネガティブになる新入社員も多いのではないでしょうか。
しかし、上司を変える事はできません。変える事が出来るのは「自分の感情」です。
今回紹介する「メッタ」で上司に対する苦手な印象を変えてみてください。
※この記事は精神科医の久賀谷亮医師の著書「世界のエリートがやっている最高の休息法」を参考に書いています。
苦手な人がいると疲れやすい
これまでも、全ての疲れは脳疲労という事を説明してきました。
脳の中枢にある、自律神経(生命活動を維持する神経)がストレスにより取り込んだ活性酸素に”酸化(錆び)”する事により、機能が低下し、私たちは疲れるのです。
職場に苦手な同僚(上司)がいると、自律神経では自分を守ろうと防御反応が起こり活動が活発化します。(心拍や血流を調整する)
その結果、頑張りすぎた自律神経は疲弊しあなた自身も疲れるのです。
ネガティブな感情が増える
職場環境がアウェーで苦手な同僚(上司)がいると、自然とネガティブ感情が芽生えます。
ネガティブ感情は脳内の自動操縦ネットワークであるデフォルトモードネットワーク(DMN)に入り込み、繰り返される雑念(思考のループ)を生み出します。
そうすることで、脳のエネルギーは大量に消費され疲労感を感じます。
【脳の雑念はアイドリング状態】
脳も車のアイドリング状態と同じでただ「ぼーっと」していたとしても脳内ネットワークのデフォルトモードネットワーク(DMN)では、「雑念」が駆け巡っています。その状態であると、体内のエネルギー消費20%を担う脳内では次から次にエネルギーが消費されていきます。しっかり休んだはずなのに、疲れが取れないと感じるのはこのためです。日ごろからあれもこれもと考える状態が慢性化していると休日でも頭の中は大忙しで疲れが取れないという状態が続くので疲れが溜まっていくのです。
※デフォルトモードネットワーク(DMN)について詳しく知りたい方は生理心理学と精神生理学早期公開に掲載されている苧阪満里子教授(大阪大学大学院人間科学研究科)の論文をご確認ください。
【引用元】生理心理学と精神生理学早期公開 著 苧阪 満里子(大阪大学大学院人間科学研究科)
筆者の体験談
筆者は新入社員時代、直属の上司がとても厳しく苦手意識が半端ない時期がありました。毎日のように怒られており、周りの同僚もみな上司が正しいと言っている事に理不尽さを覚えていました。
その時期は職場全体が敵に見えていたのを今でも覚えています。
そんな環境にいると当たり前のように仕事以外の時間帯でも「ネガティブな感情」に支配され、最後には完全「無気力状態」に陥っていました。
しかし、今なら分かるのですが「無気力」になったところで現状は変わりません。むしろもっと悪くなっていきます。
大切なのは、「周りを変える」のではなく、「ネガティブな感情」を「ポジティブな感情」に変える事です。自分で変えられるのはそこしかありません。
今回紹介するマインドフルネスの「メッタ」はその方法に大きく役立ちます。
「メッタ」ってどんなマインドフルネス?
【マインドフルネスのメッタとは】
メッタとは簡単に言うと、慈愛「人に対する愛情と慈しみを内面に育てる方法」の事を言います。更に簡潔に言うとポジティブな感情を自分の心に育てるものです。
ここで、勘違いしないで欲しいのは「誰かのためのメッタ」ではなく「自分のためのメッタ」であるという事です。
「ポジティブな感情」は自分を助けてくれます。
脳科学的にも裏付けが進んでる
人に対する愛情や慈愛と聞くと、「宗教的な祈り的」と嫌悪感を感じる人がいるかもしれませんので、もう少し詳しく説明します。
【UCLAで取り入れられるメッタプログラム】
UCLA(カリフォルニア大学)などでも、近年メッタを教えるプログラムが始まっています。「愛情」「慈しみ」「やさしさ」「共感」「寛容」「喜び」「感謝」などを育てるのに、この方法が脳の観点からも分かってきている証拠です。実際にメッタを行う事で、後帯状皮質(感情を司る偏桃体と結びつきが強い部分)の活動をリアルタイムで低下させることが明らかになっています。
ポジティブ感情は様々な場面で役立つ
ポジティブ感情は、ビジネスに限らず人間関係、教育、政治、外交、スポーツなど様々な場面でプラスに働く事が分かっています。
そして何より、「妬み」「怒り」「絶望」のようなネガティブな感情を打ち消す、不眠やストレスを改善するのです。
やさしさの「メッタ」の方法
それでは、「他人へのマイナス感情がるとき」に必要な「やさしさメッタ」を紹介します。
①マインドフルネスな意識状態をつくる
【マインドフルネスな意識状態をつくる】
・通常のマインドフルネス瞑想を10分続ける。
(椅子に座り目を閉じ背中を伸ばしお腹をゆるめ呼吸に集中する)
・ネガティブな感情から「いまここ」に注意を向ける
②その人のことを思い浮かべる
【その人の事を思い浮かべる】
・ストレスの原因になっている人をイメージする
・心身の変化に注意を向ける(身体の緊張、心の動き方など)
③心の中でフレーズを唱える
【心の中でフレーズを唱える】
・「あなたがさまざま危険から安全でありますように」
・「あなたが幸せで心安らかでありますように」
・「あなたが健康でありますように」
「メッタ」で前向きな感情に
誰にでも「どうしても好きになれない人」がいます。実際、ストレスの大半は人間関係の中から生まれます。
新入社員時代は自分の人間性を知られる前に、印象や仕事の出来で判断されやるせないこともあります。
やさしさの「メッタ」で「嫌悪」「妬み」「怒り」といったネガティブな感情を減らし、他人に対する愛情・慈しみを内面に育てる方法で、脳に疲れが溜まりづらい状態を作っていきましょう。
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