社会に出て「会社」や「仕事」で理不尽さに耐えきれず「怒りの衝動」をお元に出し失敗したことのある新入社員は多いのではないでしょうか?
筆者自身も、「自分ばっかり」という気持ちを抱え何度も失敗した経験があります。
大切なのは「怒りを持たない事」ではなく、「怒りに支配されない事」(アンガーコントロール)です。社会の理不尽さが仕方のない事のように「怒りを持つ事」も人間として仕方のない事です。
今回は、理不尽さからくる「怒りの衝動」に流されないためのマインドフルネスRAIN(レイン)を紹介していきます。
「怒りの仕組み」も解説していますので、是非参考にしてみてください!
※この記事は精神科医の久賀谷亮医師の著書「世界のエリートがやっている最高の休息法」を参考に書いています。
社会の理不尽さで怒りの衝動
入社して1年もたつと会社や業界、社会の理不尽さをしり「怒り」を感じた事がある新入社員も多いはずです。
中には、「怒りの衝動」に流され失敗したこともあるかもしれません。
怒りの衝動は偏桃体ハイジャック
人間の脳には理性を司る「前頭葉」と、感情ないし本能を司る「扁桃体」があります。
普段は、「扁桃体」を「前頭葉」が抑える形で、理性を保っている。
【偏桃体ハイジャックとは】
扁桃体は外部から過度な刺激を受けると、脳全体を乗っ取って暴走を始めます。偏桃体ハイジャックともよばれ、これが怒りの正体です。偏桃体が暴走を始めると、アドレナリンが分泌されて脳の思考活動が抑制されるので、前後の見境が無くなったりします。これが「怒りの衝動」に駆られて行動を起こしてします原因です。
筆者の体験
筆者は新入社員時代、「理不尽な要求」ばかりを言ってくるお客様を担当しており、ある日「ムカついて」言い返してしまい大問題になったことがあります。
他には、厳しい上司にいつも怒られており「自分だけが悪いような雰囲気」が事務所内に流れていることに「理不尽さ」を覚え、その時感じた「怒りの衝動」をぶちまけるまではいかないにしても、それを「やる気の無さ」や「ふてくされた態度」で外に表していました。
今になれば分かるのですが、これらは何の解決にもならず周りの反感を買うだけで良いことが一つもありません。
大切なのは「脳を上手く使い、理不尽さに流されない事」なのです。どうしたって社会には理不尽な事は起こります。その時に、自分まで流されてしまうと「負の連鎖」が始まるのです。
「怒りの衝動」にはRAINで対処
RAIN(レイン)とは怒りに対処するためのマインドフルネスの手法の事です。
【怒りの衝動に対処するRAIN(レイン)とは】
①怒りが起きている事を認識する→(Recognize)
②怒りが起きているという事実を受け入れる→(Accept)
③身近に何が起きているかを検証する→(Investigate)
④怒りと自分を同一視せず、距離をとる→(Non-Identification)
これら4つの頭文字をとったものをRAIN(レイン)と言います。
自分の変化に注意を向ける方法
RAIN(レイン)で大切になってくる考え方は理不尽さを感じたときに「自分が怒りを感じている」という事実をあるがままに受け入れ、自分の身体の変化に注意を向ける事です。
これまで説明したマインドフルネス同様に、「今」ここに集中する事が重要です。呼吸はいまここから流されないための「錨」になり自分の制御に役立ちます。
※マインドフルネスの自己制御効果について知りたい人は弘前大学教育学部紀要に掲載されている宇佐美麗教授(弘前大学)のマインドフルネスと抑うつとの関連 : 自己制御の働きに着目してを参考にしてみてください。
マインドフルネスと抑うつとの関連 : 自己制御の働きに着目して
【引用元】弘前大学教育学部紀要 著 宇佐美 麗(弘前大学)
あらゆる衝動に有効なRAIN
RAIN(レイン)は「怒りの衝動」だけでなくあらゆる衝動的願望(グレーヴィング)にも勇往とされています。
【RAIN(レイン)はあらゆる衝動に有効】
例えばタバコを吸いたいという衝動的願望が波のように押し寄せてきたときには、それを事実として受け入れながら、身体に起こる変化を観察します。そうすることで禁煙の成功率が高まると言われているのです。これは、甘いものを食べたいとかゲームがしたいとかいろいろな衝動的願望に応用できます。
目的意識のある人ほど「怒り」に注意
真面目で言われたことに目的意識を持ってやり遂げようとする新入社員程「怒り」に注意が必要です。
新入社員時代は言われたことはすべてちゃんとやろうと思う心が強いのでよく自分を観察してみてください。
【目的意識の高い人ほど「怒り」には注意】
いつもゴールばかりを見すぎて、何かを成しとげる事に囚われている状態を「タスク・オリエンティッド」と言います。なぜこの状態がいけないかというと、「ゆとりがなくなる」からです。すると、ちょっとした理不尽さから「怒り」が生まれやすくなります。社会は理不尽で元々、大切なのは「理不尽さにかき乱されず自分がやるべきことをやる」という事。山を登るときは周りの景色を楽しんだ方が頂上に上りやすくなるように、会社でも目的に向かって進む周りの人たちを見たり、助けてくれている人を思い浮かべながら進む方が、「怒りの衝動によって転ぶこと」が少なくなります。
RAINの具体的方法
それでは社会の理不尽さが原因で「怒りや衝動に流されそうなとき」に有効なマインドフルネス【RAIN(レイン)】の具体的方法を紹介していきます!
【RAINが効くもの】
①怒りの鎮静
②欲望のコントロール
③衝動の抑制
④ダイエット
⑤禁煙
①Recognize(認識する)
【Recognize(認識すること)】
・自分の怒りが起きている事を認識する
・怒りと怒っている自分を同一視しない
※マインドフルネスの基本は感情を切り離して傍観するという事。そうすることで感情に流されなくなる。
②Accept(受け入れる)
【Accept(受け入れる事)】
・怒りが起きているという事実を受け入れる
・その事実に価値評価を加えず、そのまま許す
※抑えつけると偏桃体が反発して前頭葉を突破します
③Investigate(検証する)
【Investigate(検証する事)】
・怒ったときに身体に何が起きているかを検証する
・心拍はどう変化している?
・身体はどこが緊張している?
※自分と自分に起こっている事を切り離して客観的に検証を行う
④Non-Identification(距離をとる)
【Non-Identification(距離をとること)】
・自分の感情を個人的にとらえない
・怒りを突き放して「他人事」のように考えてみる
「怒り」に陥らない脳構造
新入社員時代は「過度なストレス」を受けやすく感情を司る偏桃体への刺激が大きいです。そこに、「理不尽さ」という刺激が引き金になり「怒りの衝動」が暴走を始めます。
特に、「真面目で抱え込みやすい人」ほどこの傾向が強いです。
通常は理性に該当する「前頭葉」が「扁桃体」を抑えつけますが、マインドフルネスを実践すると、この両者がフラットに均衡する脳構造に変化していきます。
もし、「社会は理不尽」だと感じている新入社員がいたら、RAIN(レイン)の4ステップで衝動をコントロールしてください。
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