建材メーカーの営業は業界的にも今後どんどんきつくなってくると思います。
前回の「建材メーカーの営業はきつい?現役営業マンが答えます」では仕事の内容自体はきつい事も多いが、売り上げが上がる仕組みがある点はきつくないとお伝えしました。
今回の記事では、仕事そのものではなく業界の動向を見たときにどう「きつい」のかを紹介していこうと思います。
建材メーカーは今後衰退していく事が容易に予想でき、20代30代の若手サラリーマンは今のうちに転職を視野に動いた方が良いでしょう。
詳しく説明していきますのでぜひ参考にして考えてみてください。
【建材メーカー営業マンが転職を考えたほうが良い理由】
※7000文字と詳しく説明しているので気になる箇所だけ読みたい方は番号の文字をクリックするとその章まで飛びます。
最後に転職におすすめの業界と、おすすめの転職エージェントも紹介していますので最後まで確認してみてください。※すぐに読みたい方はリンクをクリック。
建材メーカーが今後きつくなる理由4選
それでは、現役で建材メーカーの営業マンとして働いている筆者が、今後どんどんきつくなる建材業界の現状をお伝えします。
冒頭でも述べたように、20代30代であれば今すぐにとは言いませんが着実に転職の情報を集め準備していく事をおすすめします。
理由も合わせて後術しますので確認してみてください。
①戸建て着工数と職人の減少比較
まず建材メーカーがきつくなる原因として真っ先に挙げられるのが「戸建て着工数の減少と職人の減少」です。
数値的な減少の危険性は、人口が減っている日本において建材メーカーに限ったことではありません。
それでも見通しが悪いのが建材業界です。
その理由は、戸建て着工棟数よりも担い手である職人の減少数が大きいという事です。
職人の生産向上率1.4倍が必要になる
【新設着工数の実績と予測結果】

【大工の人数の実績と予測結果】

上のグラフが、新設着工棟数の実績と見通しで、コロナ禍に突入した2020年を例外として考えると、2030年には2019年比で28.4%減となります。
対する、大工の人数は2019年を30万人とすると、2030年には30%減の21万人です。
若干大工の減少数の方が大きく数字的に見ると微々たるものと感じた人も多いと思います。
しかし、実際に大切になってくるのは次の表です。

参照※実績は総務省「国勢調査」、国土交通省「住宅着工統計」より。予測値はNRI。
2010年大工一人当たりの年間棟数は2戸とバランスの取れた状態でした。
しかい2030年には2.9戸と1.4倍の生産向上が求められるようになります。
比較的、収入が良いと言われている大工ですらこの数字と考えるとその他建設に係わる職人の推移は更に悪化していくという事が予測できます。
職人の平均年齢は40歳越え
この打開策として、職人の数が増えれば良いと考えるのは自然で実際にそう思った人もいると思います。
しかし、現状は職人の平均年齢は40歳を超えており今後増えていく見通しは絶望的と言えます。
実際に働いている中で、40代中盤で若手と呼ばれている職人さんを筆者は何人も知っています。70歳近いの職人さんがいまだに屋根に上ったり思い素材を施工している現状をよく見かけます。

少し古いですがこちらの表から分かるように、建設業に従事する人の数は他の産業と比べても明らかに速いスピードで減少しており今もそれは続いています。
職人減少は着工数とほぼ変わらないかもしれませんが、高齢化が進む中で2010年比で1.4倍の生産向上を上げられるとは到底思えません。
②価格の叩き合いによる体力の低下

今後建設メーカーがきつくなっていく理由として2つ目に上げられるのが「価格の叩き合いによる体力の低下」です。
一般の人でも最近テレビCMや電車広告などでよく見かける“ローコスト住宅”という文字。
職人さん含め施工業者や流通、建材メーカーは住宅会社があっての商売です。
その住宅会社は高付加価値ブランドの大手メーカーを除けば、価格競争での顧客獲得への流れが激化しています。
そのため、これまで地場工務店は大企業の価格競争に巻き込まれ顧客を奪われてきています。
特に職人は弱い立場にある
建材メーカーもそうですが、この中で直の下請けとなっている施工業者、職人は弱い立場にあり毎年人工代が下がっている印象を受けます。
2020年度のコロナウイルスの蔓延・2021年度ウッドショック、有事の際に真っ先に値引きの対象となるのが職人の手間代です。
住宅会社を値上げをするのは難しい
この危機感は住宅会社も分かっているはずだから、値上げをすれば良いのでは?と思うかもしれませんが実際は難しいところがあります。
あとで、建設メーカーの旧態依然の企業態勢の話でもしますが、大手企業(住宅会社)はどうしても目の前の数字のノルマを追いかけているため、価格を上げるということを了承させるのは至難の技です。
結果、値上げを押し切ったり価格対応をしない場合は切られてしまうことも、多く職人さんにとっては月の給料が無くなるため戦うのはリスクが大きすぎ、飲まざる終えない状況になっています。
③旧態依然の建材メーカー企業

建材メーカーが今後きつくなってくると考える3つ目の理由が「旧態依然の建材メーカー企業」が多いという事です。
どういうところが昔と変わっていないかと言うと、「利益より売り上げ至上主義」という事です。
現在会社の中枢にいる人たちは、バブルがはじけた後もなお調子のよかった住宅市場に身を置いており、利益追求よりも“どんな手を使ってでも売り上げを上げてこい”という風土の中で仕事をしてきた人が多いです。
利益が大切だという事に少しずつ気づき改善されてきているところもありますが、実際は毎月の在庫詰め(価格を下げてお願いする)などの指示は未だにバンバン飛んできます。
なかなか染みついた態勢というのは抜けず、数カ年計画でプロジェクトを立ち上げているはずなのに、すべてが垂直立ち上げと言う名目で目の前の数字を追いかけるということに変わっているという現状が横行しています。
④決まった企業だけでパイの取り合い
そして、最後に建材メーカーの営業がきつくなっていく理由として挙げるのが「決まった企業だけでパイの取り合い」を行っているという事。
20年ほど前から、力のない建材メーカーは大手に吸収合併され、今残っている企業は大手のグループ会社か子会社がほとんどです。
昔からしのぎを削ってきたメーカーだけが残っており、工場設備などで容易に作れるものではないので参入障壁が非常に高い業界となっています。
一見、それは喜ばしい事のように思いますが、実際は企業同士の商品の差異はほとんどなく新市場の開拓が難しい状態と言えます。
20代、30代は転職を考えたほうが良い理由
ここまでの説明でメーカーと言えども建材メーカーは市場が縮小しきつくなっていくという事が分かったと思います。
筆者も含めてですが今の20代30代は今のうちに転職の準備だけでも進めておいた方が良いです。
そう強く思った出来事がありましたのでその事について紹介します。
大手メーカーが希望退職者を募る

建材メーカーに数年努めていると、他者の営業マンと仲良くなることがあり業界の話を聞く機会があるのですが、コロナ禍の業績悪化でテレビCMも行っているある大手企業で希望退職者の募集があったという話を聞きました。
仕事が出来る人ほど辞めていく
希望退職者を募り実際どのようになったのかを聞いてみると、意外にも「仕事が出来る優秀な人材ほど辞めていく」という事でした。
反対に残った人間は仕事が出来ない中堅ばかりでほとんどが配置転換による「左遷」をされてしまったようです。
これの何が興味深いかと言うと、優秀な人はみんな転職先がすぐに決まったという事です。
転職準備をしていた人が動ける
結局建材メーカーに限らず今後どうなっていくか分からない社会で選択を迫られた時に動ける人間とそうでない人間がいます。
考えると少し悲惨な気がしますが、40代に近づき会社の業績が原因で左遷されるというのは悲しいですよね。
それを考えると、今すぐ転職をしないにしても転職を考え他の業界のチェックや情報を集めておくことはとても重要です。
建材メーカーは大手の企業が多いですが、今後安定と言う言葉はほとんど幻になると思っていいほど見通しが悪い業界で在る事は間違いありません。
大手企業ほど足切りにはシビアだと今回の件を通じて改めて実感しました。
もし不安に思っている人がいるなら、その不安は決して間違っていませんので数年後を見据えて今から動き出すことをおすすめします。
内定がすぐにもらえた私の転職体験談
私自身、最初は友人の勧めで気軽な気持ちで転職エージェントのアーシャルデザインに登録しました。
当時、仕事に対するやる気がなく、期待もしていませんでした。
しかし、この一歩が私の人生を大きく変えてくれました。
エージェントから企業を紹介される
最初は「自分にはオファーは来ないだろうな」と思っていましたが、現実は違いました。
担当のアーシャルデザインのエージェントから早めにカウンセリングの日程調整の連絡がありました。
私は「まだ転職するか分からないし、自信がない」と伝えましたが、エージェントは「転職をするかどうかは決まっていないこと」「最終的に転職しない人もいること」を教えてくれました。
「それなら良いかな」と思い、カウンセリングに参加しました。
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今の仕事を辞められると思うと楽になる
実績はなかったため、多くの企業を紹介してもらったわけではありませんが、3社ほどの紹介を受けました。
これを知った時、「自分にも転職できる選択肢があるんだ」と思い、今の辛い状況に馬鹿馬鹿しさを感じるようになりました。
その後、他の転職エージェントにも登録し、いくつかの企業を紹介してもらいました。
単純なことですが、「他にも会社はある」ということを知っただけで、心の負担が軽くなりました。
紹介してもらえるということは、「自分は無能ではない」と思えたのです。
結果として、いつでも辞めることができるという自信が生まれ、今の仕事に対する気持ちも楽になり、もう少し頑張ろうという気持ちになりました。
その後、いくつかの面接を受け、1社から内定をもらいました。
実際にはその時は行かずに現在の仕事を続けましたが、「選択肢」が増えたことで自信がついたことを覚えています。
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大手メーカーの営業は転職に有利

20代30代であれば、転職はまだ間に合います。
自分の実績と照らし合わせてですが、キャリアアップとしての転職も出来る年齢ではないでしょうか。
特に、転職市場を調べている中で“営業”をしたことがあるという経験は大きな武器になります。
そして、大手企業であればある程度の仕事のベースが出来ているという判断をされる事も多いですし、何より大手ならではの業界の情報を俯瞰してみる事が出来るという点は高く評価されます。
それは、他の業界に行っても重宝されるものですので、今の自分がどういった業界に転職できるのか、転職するにはどういった企業が良いのかを見極める判断材料にしていてください。
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転職するなら利益率が高い業界が良い
筆者自身価格競争が激化している建設業界に身を置き感じたのは利益率が高い業界の方が将来の見込みが高いという事です。
参考程度ですが、転職を考えている人向けに2020年度の経常利益が高い業界ランキングを紹介しますので参考にしてみてください。
転職エージェントを使う際の注意点
今後転職するにあたって多くの人が転職エージェントを利用すると思います。
転職エージェントを利用する際の注意点として、エージェント担当の人のいう事を鵜呑みにしないという事をお伝えしておきます。
彼らの成果は転職者が企業へ採用され働き始める事で発生するもので、中には離職者が多く採用されやすい企業を勧めてくることがあるので注意です。
全ての人がそうという訳ではなく、親身にキャリアプランを考えてくれる担当者も多く存在するのでいくつかのエージェントをに登録し見極める事も大切です。
一方で転職希望者として単独で企業と繋がる事は難しく、転職エージェントの存在は必要不可欠なのも事実です。


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