「窓際族」と呼ばれる人たちは、外から見ると楽そうに見えますが、実はたくさんのストレスを感じています。
そのストレスは心に乱れをもたらし、時には自分自身をおかしくさせてしまうこともあります。
このストレスは、窓際での仕事の特有のネガティブな感情から生まれています。
しかし、マインドフルネスという方法を使って「今を大切に集中する」ことで、この状態から抜け出し、元気を取り戻すことができます。
そこで、この記事では「窓際族が感じるストレス」と「マインドフルネス呼吸法」について詳しく説明します。
窓際族は本当に勝ち組か
新入社員や新卒社員、社会人1年目の皆さんも、窓際族の幸せについて疑問を抱いたことがあるのではないでしょうか?周りでよくこんな声を聞いたことはありませんか?
【窓際族は勝ち組】
〇「みんなが忙しなく働いている時に何もしなくていいから勝ち組」
〇「仕事中に本を読んでも、ゲームをしても良いから勝ち組」
〇「全然仕事をしなくても、みんなと同じだけの給料をもらえるから勝ち組」
なんとなく、言いたいことは分かりますよね。
周りの人から頼りにされないというストレス
窓際族であっても、社内でみんなから好かれている場合は問題ありませんが、実際には窓際族の多くは社内でほとんど頼られることがない状態にあり、これは大きな「ストレス」を引き起こすと考えられます。
私自身も経験したことがありますが、社内で「まったく頼られない」という状態は非常に強い「ストレス」を感じます。
人間は社会的な生き物です。周りの人々に必要とされていないと感じると、ますます「ネガティブ」な気持ちになっていきます。
※幸福感と人とのつながりについて詳しく知りたい人は芳賀道匡教授(日本大学)の論文【個人がもつ「人と人とのつながり」の認知的・構造的側面,共同活動と,主観的幸福感の関連 -個人レベルのソーシャル・キャピタルに焦点をあてて-】を参考にしてみてください。
個人がもつ「人と人とのつながり」の認知的・構造的側面,共同活動と,主観的幸福感の関連 -個人レベルのソーシャル・キャピタルに焦点をあてて-
【引用元】日本心理学会第77回大会 著 芳賀 道匡(日本大学)
することが無いのに職場に行くのは辛い
人間の脳は、常に刺激を求めています。
ですから、刺激がまったくない職場に行くことは、ただのストレスです。
実際に窓際族の中には、仕事中に嫌な考えが頭を巡る人もいるのではないでしょうか。
これは、脳が刺激のない「空白」の状態を埋めようと、過去や未来の印象的な出来事を引っ張ってくるためです。
何もせず座っているという辛さ
先ほども説明しましたが、「何もしない」という状態は脳にとって大きなストレスです。
窓際族専用の部屋があり、自由にゲームや読書ができるなら、少しは楽に感じるかもしれません。しかし、実際のオフィスでは皆が働いている中でデスクに座っています。
その状況で何もせずに同じ姿勢で座り続けることは、まるで拷問のような辛さを感じます。
何もせず座っていることの辛さには以下のような要素があります:
- 同じ姿勢で座り続けることで血流が悪くなり、疲れを感じます(血流の悪化は自律神経の疲弊にもつながります)。
- 周りの人々が仕事をしている中で、自分だけ何もしていないという差を感じます。
- 嫌でも周りの注目を感じざるを得ません。
- 何かしたいと思っても、するべきことがないため、頭に「雑念」が浮かんでしまいます。
これらの要素が集まって、座っているだけでもつらい状況になるのです。
無気力で身体が動かない
「窓際族」として働く中で、時折こんな辛さを感じて現状を変えようと思ったことがある人もいるでしょう。
しかし、思っているだけではなかなか行動に移せず、「身体が動かない」という状態に陥っていることはありませんか。
これは、脳が長時間のモノトーンな環境に疲弊し、無気力な状態になってしまっている可能性があります。
窓際族だった私の体験談
私自身、最初は友人の勧めで気軽な気持ちで転職エージェントの第二新卒エージェントneoに登録しました。
当時、仕事に対するやる気がなく、期待もしていませんでした。
しかし、この一歩が私の人生を大きく変えてくれました。
エージェントから企業を紹介される
最初は「自分にはオファーは来ないだろうな」と思っていましたが、現実は違いました。
担当の第二新卒エージェントneoのエージェントから早めにカウンセリングの日程調整の連絡がありました。
私は「まだ転職するか分からないし、自信がない」と伝えましたが、エージェントは「転職をするかどうかは決まっていないこと」「最終的に転職しない人もいること」を教えてくれました。
「それなら良いかな」と思い、カウンセリングに参加しました。
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今の仕事を辞められると思うと楽になる
実績はなかったため、多くの企業を紹介してもらったわけではありませんが、3社ほどの紹介を受けました。
これを知った時、「自分にも転職できる選択肢があるんだ」と思い、今の辛い状況に馬鹿馬鹿しさを感じるようになりました。
その後、他の転職エージェントにも登録し、いくつかの企業を紹介してもらいました。
単純なことですが、「他にも会社はある」ということを知っただけで、心の負担が軽くなりました。
紹介してもらえるということは、「自分は無能ではない」と思えたのです。
結果として、いつでも辞めることができるという自信が生まれ、今の仕事に対する気持ちも楽になり、もう少し頑張ろうという気持ちになりました。
その後、いくつかの面接を受け、1社から内定をもらいました。
実際にはその時は行かずに現在の仕事を続けましたが、「選択肢」が増えたことで自信がついたことを覚えています。
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「窓際族」なのになぜ疲弊するのか
初めての社会人として窓際で働くことは、まるで仕事をしていないように見えるため、窓際族は「疲れない」と思われがちです。
しかし、実際は先ほど説明したように、「過度なストレス」によって脳が大きく疲弊している可能性があります。
「身体が疲れていなくても脳はストレスで疲弊している」
私たちの疲労のほとんどは、実は脳によるものだと言われています。
さらに詳しく説明すると、脳中枢に存在する自律神経が、過度なストレスによってその細胞が傷つけられ、機能低下が起こるのです。
自律神経は私たちの生命活動を司る神経であり、心拍や呼吸、血流などの調節を担当しています。
過度なストレスによって傷つけられると、自律神経は生命の危機を感じ、私たちの活動を制限するための指令を脳から出すのです。
このように、大きなストレスを長期間受け続けると、「無気力状態」が慢性化してしまうのです。
ストレスを感じすぎるとおかしくなる
私たちの脳には、理性を司る「前頭葉」と感情を司る「扁桃体」という領域があります。
通常、ストレスを感じると「扁桃体」が嫌な気持ちとして感情を生み出します。しかし、その感情が制御されて暴走しないのは、「前頭葉」が理性で「扁桃体」を抑え込んでいるからです。
しかし、ストレスを強く感じすぎると「扁桃体」が制御を失い、「前頭葉」がうまく抑えられなくなります。
その結果、思考力や判断力が低下し、「感情の爆発」や「恐怖や悲しみに耐えられない」といった症状が現れるのです。自分でも分からないけれど「おかしくなった」と感じることがある人もいるかもしれません。
普段は穏やかな人でも些細なことで怒りやすくなったり、疲れてくると涙が止まらなくなったりするのは、このように「脳のバグ」が起きている状態です。扁桃体の隣にある海馬も影響を受け、記憶の欠落なども起こります。
動くためには「脳の疲れ」を取る
「窓際族」の方々が現状を変えたいと思うなら、まずは「無気力状態」から抜け出すことが重要です。
「無気力状態」は、脳が受けるストレスが原因です。したがって、ストレスを軽減するために、脳を健康な状態に整える必要があります。
そのために有効な方法として、今回は「マインドフルネス呼吸法」を紹介します。
マインドフルネス呼吸法は、自分の呼吸に意識を集中させることで、現在の状態に対して注意を向ける瞑想法です。以下に基本的な手順を示します。
- 快適な姿勢をとり、目を閉じます。
- 自然な呼吸に集中し、息を感じます。吸うときと吐くときの感覚に注目します。
- 心が漂ってしまったら、それに気づいて静かに戻ります。焦らずに自分の呼吸に戻ることを繰り返します。
- 5〜10分程度続け、リラックスした状態を保ちます。
マインドフルネス呼吸法を実践することで、脳がリラックスし、ストレスの軽減に役立ちます。毎日少しずつ練習し、脳の疲れを取りながら、心と体のバランスを整えていきましょう。
マインドフルネスって何?
簡単に言えば、「マインドフルネス」とは「現在に集中することで心の疲れを軽減する方法」です。
有名なAppleの創業者、スティーブ・ジョブズが瞑想を実践していたことは広く知られています。その瞑想が「マインドフルネス」の一形態です。
具体的には、「マインドフルネス」は「今この瞬間に意識を向けること」であり、「雑念を取り除く方法」として使われます。
マインドフルネスの発祥は、マサチューセッツ大学医学大学院のジョン・カバット・ジン教授によって脳のリラックス法として開発されました。
この手法は東洋の仏教の禅の要素を取り入れつつ、科学的な研究と西洋のアプローチを組み合わせて生まれたものです。瞑想もマインドフルネスの一部です。
1979年にはジョン・カバット・ジンが慢性疾患の治療にマインドフルネスを応用し、広く知られるようになりました。この応用をマインドフルネスベースストレスリダクション(MBSR)と呼びます。
先ほど紹介したスティーブ・ジョブズをはじめ、GoogleやFacebook、Cisco、Patagonia、Aetnaなどの大企業でも社内研修としてマインドフルネスが導入されています。
「窓際族」のストレスたち
先ほど説明したように、「窓際族」が抱えるストレスを解消するためには、頭の中に不必要なネガティブな感情が浮かばないようにすることが非常に重要です。
そのためには、「今この瞬間に意識を向け、心を疲れさせない方法」として、マインドフルネスが非常に効果的です。
ここでは、取り組みやすいマインドフルネスの方法の中でも、特にオススメな「マインドフルネス呼吸法」を紹介します。
マインドフル呼吸法の4ステップ
①基本姿勢をとる
【①マインドフルネスの基本姿勢】
・椅子に座る(背筋を軽く伸ばし、背もたれから離して)
・お腹はゆったり、ては太ももの上、脚は組まない
・目は閉じる(開ける場合は、2メートルくらい先を見る)
②身体の感覚に意識を向ける
【②身体の感覚に意識を向ける】
・接触の感覚(足の裏と床、お尻と椅子、手と太ももなど)
・身体が地球に引っ張られる重力の感覚
③呼吸に注意を向ける
【③呼吸に注意を向ける】
・呼吸に関わる感覚を意識する(鼻を通る空気/空気の出入りによる胸・お腹の上下/呼吸と呼吸の切れ目/それぞれの呼吸の深さ/吸う息と吐く息の温度の違い・・・など)
・深呼吸や呼吸コントロールは不要(自然と呼吸がやってくるのを「待つ」ような感覚で)
・呼吸に「1」「2」・・・「10」とラベリングすると効果的。
④雑念が浮かんだ場合は
【④雑念が浮かんできた時の対処法】
・雑念が浮かんだ事実に気づき、注意を呼吸に戻す。(呼吸は「意識の錨」)
・雑念は生じて当然なので自分を責めない。
マインドフルネス呼吸法のポイント
ここでは、「マインドフルネス呼吸法」を実践する上でのポイントを紹介します。
毎日続けることが大切です。たとえ1日5分でも10分でも構いません。日々の練習を継続することで効果が現れます。
同じ時間と場所で実践しましょう。「脳」は習慣を好みますので、特定の時間や場所で行うことで、自然と続けることができます。
例えば、通勤中の電車の中や、仕事中のちょっとした空き時間に実践するのがおすすめです。特に頭がネガティブな感情に支配されそうな状況で、マインドフルネス呼吸法を取り入れると効果的です。
「呼吸」は現在に意識を集中させる「錨」のような存在です。気持ちが弱くなりそうな時は、呼吸にフォーカスして、今この瞬間に集中しましょう。「呼吸」を通じて心を落ち着かせることができます。
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