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入社初日に退職代行を使っても、キャリアに傷はつかない理由とは

入社初日に退職代行を使っても、キャリアに傷はつかない理由とは

この記事の要点

  • 入社直後に退職代行を使うことは、採用側から見ても「仕方ない」と受け止められることが多い
  • ギャップの正体は「人」であることが多く、面接で会った人と実際に一緒に働く人が違うケースは珍しくない
  • 退職代行を使ったこと自体がその後のキャリアに悪影響を及ぼすことはほとんどない
  • ただし「逃げ癖」がつかないよう、次の職場では仕事の本質を理解した上で選ぶことが大切

入社したばかりなのに、もう限界。でも自分から辞めると言い出す気力もない。そんな状態で「退職代行」という言葉にたどり着いた方もいるかもしれません。ニュースでは「入社初日に退職代行」という見出しが話題になることもあり、それを使うことに後ろめたさを感じている方もいるでしょう。

この記事では、元人事責任者・マネージャーとして数多くの採用・退職に携わってきた立場から、入社直後の退職代行利用が現場でどう受け止められているか、なぜそうした状況が生まれるのか、そしてその後のキャリアへの影響について、正直にお伝えします。

入社直後の退職代行、現場ではどう受け止められているか

データで見る

新年度の繁忙期には、退職代行サービスへの依頼が1日で267件にのぼり、その中には入社初日の依頼も含まれていたと報じられています。入社直後に退職代行を使う人が一定数存在することは、社会的にも認識されつつある現象です。

出典:東京新聞「『退職代行』に1日で267人、入社初日の依頼まで」

データで見る(利用者の年代)

東京商工リサーチの調査によると、退職代行を利用した人の年代は20代が60.8%、30代が26.9%と、若手層が中心になっています。退職代行は特定の人だけが使う特別な手段ではなく、20〜30代であれば身近に選択肢として存在するサービスだといえます。

出典:東京商工リサーチ「退職代行による退職に関する調査」

採用側の現場感覚として正直にお伝えすると、入社直後・入社初日に退職代行を使われても、それ自体は問題だとは感じません。入社してすぐに辞めてしまうという結果には、採用時の見極めの甘さや、入社直後の受け入れ対応の不備など、会社側の責任が大きく関わっている可能性があるからです。

そもそも入社してすぐ辞めてしまうような選考をしてしまったこと自体が採用側の責任でもあるため、候補者だけを一方的に責めることはできないというのが基本的な考え方です。正直な話をすると、退職代行を使ってでも辞めたいと感じるほどの状況にある人が、無理に残り続けたとしても戦力になる可能性は高くありません。早めに区切りがついたことは、お互いにとって悪くない結果だったとも言えます。

退職代行を使わないといけない状況まで追い込んでしまったこと自体に、会社側の問題があったのではと振り返るのが、まともなマネジメントだと思います。候補者やサービスを責めても何も変わりません。

ギャップの正体は「人」であることが多い

なぜ入社直後に「退職代行を使ってでも辞めたい」というほどの状況が生まれてしまうのでしょうか。大きな要因として考えられるのは、入社前に期待していた・期待させてしまっていた内容と、実際の入社後の体験との間に生まれるギャップです。

このギャップの中でも特に大きいのが「人」に関するものです。採用面接で出会った人と、実際に配属先で一緒に働くことになる人が全く違う、というのは採用現場でよくあることです。選考時に前面に出るのはエース級の社員であることが多く、入社後に一緒に働く現場のメンバーとは雰囲気や社風が異なるケースは珍しくありません。期待を持って入社したにもかかわらず、自分が苦手とするタイプの人と働かざるを得ない状況になってしまうことは、実際によくある話です。

「リアリティショック」とは

入社前に抱いていたイメージと、入社後に知った現実との間に生じるネガティブなギャップのことを、人材・組織論の分野では「リアリティショック」と呼びます。若手社員の約8割が何らかのリアリティショックを経験しているとされ、これを放置すると早期離職やモチベーション低下につながりやすいと指摘されています。入社直後に感じる強い違和感は、決して珍しい・特別な反応ではありません。

元人事として言える、退職代行を使っていい場面

採用側からすると「退職代行を使った」こと自体はマイナスになりません。言い出せないまま消耗し続ける方が、次の転職に響きます。どうしても自分で言えないなら、使うべき場面はあります。

退職代行を使うと、その後のキャリアに影響するのか

結論から言えば、退職代行を使ったこと自体が、その後のキャリアに悪影響を及ぼすことはほとんどありません。次の転職活動で「どうやって前職を辞めたのか」を細かく聞かれる場面は基本的になく、退職の手段そのものが評価されることはないと考えてよいでしょう。

知っておきたいこと

  • 退職代行を使ったという事実自体は、次のキャリアで問われることはほとんどない
  • ただし、次の職場でリファラル(前職からの推薦)を求められた場合、前職に依頼するのは難しくなる可能性がある
  • 短期離職については、転職活動で理由を聞かれる可能性があるため、説明できるように整理しておくとよい
  • 第三者が見て「それは仕方ない状況だった」と言えるケースであれば、退職代行の利用に問題はないと考えてよい

今は働き口の選択肢も多くあります。本当に無理な状況であれば、無理を続ける必要はありません。

辞めた後に大切にしたい視点

ここまでお伝えしてきた通り、退職代行を使うこと自体は何ら問題のあることではありません。まともな会社であれば、候補者ではなく自分たち側に問題がなかったかを振り返るはずです。

一方で、今後気をつけておきたいことが一つあります。それは「逃げ癖」がついてしまう可能性です。仕事というのは、基本的に自分の思い通りにならないものです。一緒に働く人を選ぶことはできませんし、業務内容を決める権限も最初はほとんどありません。そうした環境の中でも、自分なりの価値を少しずつ出していくことが仕事であり、その対価として給与を受け取っているという認識は持っておく必要があります。

退職代行をつかざるを得ない状況になったこと自体は仕方ありません。ただ、辞めた後の職場選びでは、仕事とは何なのかという観点を理解した上で、もう少し長く経験を積めそうな環境を探してみることをおすすめします。

次の職場を選ぶときの視点

視点考え方
一緒に働く人の雰囲気面接で会った人だけでなく、実際に働く現場の雰囲気も可能な範囲で確認する
業務内容の裁量最初から思い通りにいかないのは当然。少しずつ価値を出す姿勢で臨む
長く経験を積めそうか短期間で転々とするより、腰を据えて経験を積める環境かを重視する

よくある質問

Q. 入社初日に退職代行を使うのは非常識でしょうか?

A. 採用側の立場からすると、そこまで問題視されることではありません。むしろ、そこまで追い込んでしまった会社側の受け入れ体制に課題があったと捉えるのが一般的です。

Q. 退職代行を使ったことは、次の転職活動でバレますか?

A. 退職の手段について次の転職先で細かく聞かれることはほとんどありません。ただし、短期離職であること自体は聞かれる可能性があるため、理由を説明できるようにしておくとよいでしょう。

Q. なぜ入社直後にここまで辞めたくなるのでしょうか?

A. 期待していた内容と実際の体験のギャップが大きな原因です。特に、選考時に会った人と実際に一緒に働く人が違うという「人」に関するギャップが大きく影響していることが多いです。

Q. 退職代行を使った後、気をつけるべきことはありますか?

A. 「逃げ癖」がつかないよう注意が必要です。仕事は基本的に思い通りにならないものだという前提を持ちつつ、次の職場では長く経験を積める環境を選ぶことを意識してみてください。

Q. 入社直後に感じる強い違和感は「リアリティショック」なのでしょうか?

A. その可能性が高いです。リアリティショックは若手社員の約8割が経験するとされる一般的な現象で、期待と現実のギャップから生じます。珍しい反応ではないので、過度に自分を責める必要はありません。

入社直後に退職代行を使ってでも辞めたいと感じているなら、それ自体を過度に責める必要はありません。まともな会社であれば、そうした状況を招いた自分たち側の責任を振り返るはずです。大切なのは、辞めた後にどう次の職場を選ぶかです。仕事の本質を理解した上で、もう少し長く経験を積めそうな環境を探してみてください。

元人事として言える、退職代行を使っていい場面

採用側からすると「退職代行を使った」こと自体はマイナスになりません。言い出せないまま消耗し続ける方が、次の転職に響きます。どうしても自分で言えないなら、使うべき場面はあります。

ABOUT ME
TARO
IT業界で人事採用責任者・事業責任者を経験。累計500名以上の採用面接・50名以上の採用実績をもとに執筆。自身も新卒短期退職→転職でキャリアを立て直した経験あり。採用側と転職者側、両方のリアルを発信します。

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